こんにちは、公認会計士・税理士の秋田英策です。
日々の会計実務の中で、「積立金」(その他の積立金)と「積立資産」の処理に悩まれたことはありませんか?
原則として、この2つは「両建て(残高が一致している状態)」で計上する必要があります。しかし、「資金管理上の理由等がある場合は、積立資産のみを計上できる」という例外規定もあるため、例えば、「将来の修繕のために、まずは資金を別口座で管理しておきたい」「黒字ではないので積立金は積めないが、資金だけ確保したい」といった理由で積立資産のみ計上することを考えてしまうケースも見受けられますが、実務上は注意が必要です。ここは自治体による指導監査で指摘されやすいポイントの一つです。
1.なぜ「積立資産だけ」の処理は指摘されやすいのか?
積立資産のみの計上が認められるのは限定的です。指摘されやすい理由としては以下のとおりです。
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正式な手続き(意思決定)の裏づけが必要
積立金(純資産)を計上するには、将来の使途を法人として明確にし、理事会などの所定の手続きを経て意思決定をする必要があります。積立資産だけが増えている状態では、その資金拘束の根拠(=法人としての意思)が不明確と判断されることがあります。 -
会計上の透明性
積立金を計上せず、資金管理だけを先行させる処理は、計算書類上のバランス(次期繰越活動増減差額など)にも影響を与えるため、利益調整ではないかとの疑義を招くことがあります。
2.指摘を受けてしまったら、どうすればいい?
もし監査で指摘を受けた場合は、まずその資金の目的を改めて整理し、将来の支出内容や必要性を明確にすることが大切です。そのうえで、法人内の所定の手続き(理事会・評議員会の承認)を経て、必要に応じて積立金を計上し、積立資産との対応関係を整える修正を行います。社会福祉法人会計では公益性と説明責任が重視されるため、例外規定であっても、実際には相応の根拠と運用実態が求められることに留意が必要です。
当事務所では、社会福祉法人のお客様への会計支援業務を行っております。「指導監査に向けた事前の書類チェックをしてほしい」「特殊な会計処理について相談したい」など、日々の業務でお困りのことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
【関連資料:厚生労働省】
平成28年3月31日厚生労働省社会・援護局福祉基盤課長等通知(最終改正:令和3年11月12日)社会福祉法人会計基準の運用上の留意事項について
